CAD/CAM HB冠
CAD/CAM HB冠は、CAD/CAMで削り出す保険適用のハイブリッドレジン補綴物です。
一般的な臼歯部の保険補綴物である金属冠と比べると、大幅に審美性が向上しています。
前歯部の硬質レジン前装冠と比べても、メタルの裏打ちがないため透過性が高くブラックマージンにもなりません。
保険適用
適用部位
2014年4月に保険適用されてから、順次適法範囲が拡大されてきました。
現在はすべての歯で使用できます。
保険適用時期 | 適用部位 | 形態 |
---|---|---|
2014年4月 | 小臼歯 | クラウン |
2017年12月 | 下顎第一大臼歯 | クラウン |
2020年4月 | 上顎第一大臼歯 | クラウン |
2020年9月 | 前歯 | クラウン |
2022年4月 | 小臼歯、第一大臼歯 | インレー |
2023年12月 | 第一大臼歯、第二大臼歯、第三大臼歯 | クラウン【PEEK冠(V)】 |
2024年6月 | 第二大臼歯 | クラウン |
2024年6月 | 第一大臼歯、第二大臼歯 | エンドクラウン |
2024年6月 | 小臼歯、第一大臼歯、第二大臼歯 | インレー【IOS】 |
保険適用には条件があります
- 単冠のみ対応(ブリッジ・連結冠は不可)
- 第一大臼歯の診療の場合は、上下顎の両側第二大臼歯が全て残存していること
- 施設基準届出書が受理されていること
大臼歯については、上下顎両側の第二大臼歯が全て残存し、左右の咬合指示がある患者に対し、過度な咬合圧が加わらない場合等において第一大臼歯に使用する場合に算定できる。
歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者において、第二大臼歯に使用する場合(医科の保険医療機関又は医科歯科併設の医療機関の医師との連携のうえで、診療情報提供(診療情報提供料の様式に準じるもの)に基づく場合に限る。)
保険点数
弊社で製作する小臼歯部のCAD/CAM HB冠は、高強度の「 type II 」を使用しています。
クラウン
CAD/CAM冠 前歯(IV) | CAD/CAM冠 小臼歯(II) | CAD/CAM冠 大臼歯(III) | メタルクラウン (12%Pd) | |
---|---|---|---|---|
歯冠修復(材料込) | 1638 | 1388 | 1550 | 1314 |
歯冠形成(失活歯) | 796 | 796 | 796 | 306 |
内面処理 | 45 | 45 | 45 | - |
印象採得 | 64 | 64 | 64 | 64 |
咬合採得 | 18 | 18 | 18 | 18 |
装着料 | 45 | 45 | 45 | 45 |
装着材料 | 17 | 17 | 17 | 17 |
維持管理費 | 100 | 100 | 100 | 100 |
合計 | 2723 | 2473 | 2635 | 1864 |
詳しくはこちら 歯科診療報酬点数早見表<医歯薬出版株式会社>
施設基準届出書
- 下の届出書をダウンロード、または印刷してください。
- 必要事項を記入してください。
※ 提携ラボ情報は記載済みです。
- 届出書を管轄の地方厚生局(もしくは指導監察課か事務所)へ提出してください。
CAD/CAM冠施設基準に係る届出書
①
歯科技工士連携加算
④
施設基準の条件
- 歯科補綴治療に係る専門の知識及び3年以上の経験を有する歯科医師が1名以上配置されていること。
- 保険医療機関内に歯科技工士が配置されていること。
なお、歯科技工士を配置していない場合にあっては、歯科技工所との連携が図られていること。 - 保険医療機関内に歯科用CAD/CAM装置が設置されていること。
なお、保険医療機関内に設置されていない場合は、当該装置を設置している歯科技工所と連携が図られていること。
算定告示
厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、歯冠補綴物の設計・製作に要するコンピュータ支援設計・製造ユニット(歯科用CAD/CAM装置)を用いて、小臼歯に対して歯冠補綴物(全部被覆冠に限る)を設計・製作し、装着した場合に限り算定する。
特徴
色調
安定したシェード
CAD/CAM HB冠は、既に各シェードに着色されたブロックを削り出して製作するため、安定した色調を得られます。
対応シェード
部位 | 対応シェード |
---|---|
前歯 | A1、A2、A3、A3.5、A4 |
小臼歯 | A1、A2、A3、A3.5、A4 |
大臼歯 | A1、A2、A3、A3.5 |
CAD/CAM HB冠では色調調整をおこないません。
色調不良の再製は保証対象外となりますのでご注意ください。
進化した3層構造のグラデーション
前歯用のブロックには、エナメル層、ボディー層、デンチン層の3層構造のグラデーションが付与されています。
各層をランダムに波状に重ねることで、光が複雑に屈折されているので、境目のない自然なグラデーションを表現できます。
蛍光性
天然歯は光(紫外線)を受けると青白い光を発光する蛍光性があります。
CAD/CAM HB冠にもこの蛍光性があるため、屋外でも室内でも天然歯のように見えます。
透過性
CAD/CAM HB冠は透過性のある材料です。
ただし透過性は厚みにより減少します。
1.0mmの厚みでは1/3まで光が減衰し、2.0mmの厚みでは 1/10まで減衰することが報告されています。
各種 CAD/CAM 用歯冠修復材料の光透過性について . 接着歯学 2014:32
強度
CAD/CAM HB冠は保険適用の「ハイブリッドレジン」です。従来の保険材料の「硬質レジン」と比べると、前歯と小臼歯用で約2.5倍、大臼歯用では約3倍の曲げ強度があります。
また、CAD/CAM冠用ブロックは、「シリカ微粉末とそれを除いた無機質フィラーの 2種類のフィラーの合計が 60%以上であり、重合開始剤として過酸化物を用いた加熱重合により作製されたレジン」と規定されています。この高密度にフィラーが配合されたブロックから削り出すことで、筆盛りのハイブリッドレジンと比べても曲げ強度が高くなっています。
CAD/CAM HB冠 3点曲げ強度<ドライ>
CAD/CAM HB冠 3点曲げ強度<水中>
臨床症例における破折が原因の再製本数 <実数>
CAD/CAM HB冠
製作本数 | 9,972本 |
破折による再製本数 | 98本 |
破折による再製率 | 0.98% |
プレパレーション
支台歯形成
ミリングバーの直径を考慮し、外形は丸みをつけてなめらかにしてください。
前歯クラウン
- 先端1.5mm以上
- 軸面1.0mm以上
- マージン部0.8mm以上
小臼歯クラウン
- 咬頭1.3mm以上
- 最深部1.3mm以上
- マージン部1.0mm以上
- 支台歯テーパー6~10度
大臼歯クラウン
- 咬頭1.5mm以上
- 最深部1.5mm以上
- マージン部1.0mm以上
- 支台歯テーパー6~10度
マージン形成
禁忌・禁止事項
メタクリレート系ポリマーに対して発疹、皮膚炎などの過敏症の既往歴のある患者には使用しないでください。
補綴物のご依頼・ご相談はこちらから
CAD/CAM HB冠 の写真
補綴物詳細
補綴物名 | CAD/CAM HB冠 |
分類 | ハイブリッドレジン |
曲げ強度 | 前歯:269MPa 小臼歯:269MPa 大臼歯:290MPa ★★☆☆☆☆ |
審美性 | ★★★☆☆☆ |
透過率 | |
生体親和性 | 中 |
最大連結本数 | 単冠のみ |
最大連結ポンティック数 | - |
最大連結延長ポンティック数 | - |
IOS(デジタル印象) | 対応 |
保証期間 | 2年間 |
その他物性
前歯(IV) | 小臼歯(II) | 大臼歯(III) | |
---|---|---|---|
無機フィラー含有率(wt%) | 74 | 74 | 75 |
ビッカース硬さ(HV0.2) | 88 | 88 | 90 |
吸水量(μm/mm3) | 18 | 18 | 17 |