歯医者の開業資金は、何にどれくらい必要なのかご存知でしょうか。
歯医者の開業資金で必要なお金は、設備投資資金、運転資金、広告費の3種類があります。
この記事では、歯医者の開業資金について、詳しくご紹介していきましょう。
歯医者の開業資金
設備投資資金は5000万円程度
設備投資資金とは、開業時に医療機器等の設備を準備する際にかかる費用です。
5000万円程度が必要とされていますが、その内訳を見てみましょう。
(テナント開業の場合の例)
- 敷金/保証金:60万円
- 家賃:700万円
- 礼金:60万円
- 仲介手数料:60万円
- 内装工事諸費用:2,000万円
- 歯科診療ユニット:800万円
- 滅菌器:50万円
- レントゲン設備:800万円
- 光重合器:40万円
- エアーコンプレッサー:50万円
- バキュームシステム:50万円
- その他医療機器:100万円
- 電子カルテ保険請求システム(レセコン):60万円
- 歯科材料、その他消耗品の仕入れ:200万円
- 設備投資資金・・・5030万円
歯医者の開業資金は、テナントか戸建てでも変わりますし、導入する医療機器によっても変わります。
しかし、だいたい4500万円~5500万円程度だと考えるようにしましょう。
運転資金は1200万円程度
運転資金とは、開業後の経営が軌道に乗るまでに必要な資金のことで、家賃や人件費に主に使われます。
人件費率(人件費÷売上高)を20%くらいにするのが適切な目安なので、意識するようにしましょう。
開業したてのときから、極端に雇用を増やし過ぎると、資金繰りが一気に悪くないので、雇用しすぎないように注意してください。
運転資金は1200万円程度が目安です。保険診療の収入は、診療を行った月の2ヶ月後に国から支払われるので、開業から2ヶ月間は、保険診療の窓口収入と自費診療の治療費しか収入源がありません。
開業から数ヶ月は十分な収入を得られない可能性が高いため、預金を取り崩しながらの経営となります。
広告費も100万円程度必要
歯科医院の開業時には、公式サイトや内覧会の費用が必須となります。
公式サイトをつくる場合は専門の製作会社に依頼するようにしましょう。歯科のウェブサイトを多く手掛けているところであれば、医療広告ガイドラインに沿った表記にも慣れているので安心です。
広告・宣伝活動の内容によって、開業後の患者さんの来院数が大きく変わってきます。
初めての歯科医院に行く患者さんのほとんど全員が、来院前に歯科医院の公式サイトを閲覧しています。
公式サイトは開業前から患者さんにさまざまな情報を届けることができ、内覧会の集客や求人・採用活動にも利用できるのです。
これらの広告費を100万円ほど確保するようにしておきましょう。
歯医者の開業資金はどう調達?自己資金0で融資できるか
歯科医院を開業する場合は、すべて自己資金ではなく、金融機関から借り入れをして資金を調達するのが一般的です。
運転資金の1,000万円を自己資金で用意して、設備投資の5,000万円を金融機関から借り入れるというのがよくあるケースとなっています。
自己資金0で融資できる?
自己資金がゼロの状態では、貸してくれる金融機関はないと考えた方がよいでしょう。
少なくとも500万円、できれば1,000万円くらいは自己資金を用意してください。自己資金は多ければ多いほどよいのです。
自分でどれだけの開業資金を準備できるかはよく計画しましょう。
また、信用がない歯医者の開業時に民間金融機関から好条件で融資を受けることは不可能に近いため、公的創業融資である日本政策金融公庫の新創業融資を活用するのがおすすめです。
自己資金要件が創業資金総額の10分の1以上に緩和されたうえ、設備・運転資金で最大2年の据置期間があります。3000万円まで無担保・無保証で融資が可能となります。
銀行で融資を受ければ不動産や連帯保証人などの担保が必要になるので、かなり便利です。
親からの贈与は税金に注意
自分で貯蓄したお金以外に、親族からの援助金も調達方法の一つですよね。
親族からの援助金は、場合によっては贈与税がかかる事があるので注意してください。
自己資金があまりに高額だと税務調査でチェックの対象になるので、自己資金の出どころを明確にし、資料を準備しておきましょう。
歯医者が開業する前に資金以外に準備すべきこと
歯医者が開業をする前には、資金以外にも準備しなければならない点がありますので、いくつかご紹介します。
開業に足る技術力を身につける
保険外診療の治療の技術を上げておいたほうが、診療報酬をもらえるチャンスはぐっとあがります。
講習を受ける、勉強会に参加するなど、技術を磨くチャンスを活かして、技術向上に励みましょう。
経営者としての視線を身につける
税理士や経営コンサルタントなどの外部専門家の話を理解し、対等に話ができるレベルにはなりましょう。
歯科医院はビジネスであることを理解し、集患のための施策へ積極的に取り組んでください。競合歯科も多いので、職人気質で技術向上ばかりやっていても負けてしまいます。
支出に厳しくなる
「かけるべき経費」と「かけないべき経費」の見極めを厳しくしましょう。
意味の薄い経費を使わないように徹底してください。とくに固定費を見直すことは重要です。
まとめ:歯医者の開業資金準備は万全に
開業資金は基本的に5000万円程度あれば足りるでしょうが、その資金の調達方法は人それぞれです。
自己資金は多いに越したことはありません。最低でも1000万円程度の自己資金がたまってから、開業について具体的に動いていくようにした方が計画やすいと思います。
また、開業に必要なのはお金だけではありません。開業後の経営イメージをしっかり描いて、どのような歯科医院を経営するのか、しっかりと計画をたてましょう。
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