印象採得の際に嘔吐反射に悩まされる患者は多く存在します。嘔吐反射は患者もつらく、印象採得もしにくくなるので、対応が必要となります。
そこで、この記事では患者さんの嘔吐反射の対応方法を解説していきましょう。
印象採得の際に嘔吐反射が起こる理由
そもそも、印象採得の嘔吐反射が起こるのはなぜなのでしょうか。実は、人間は口内に異物が入りそうになったときに、自然に吐き出そうとする反応を持っているのです。
印象採得のときに嘔吐反射するという人は、その反応がほかの人よりも極端に強く、咽頭粘膜や舌根部への刺激などで生じる反射で起こります。
印象採得の際の嘔吐反射が及ぼす影響
印象採得の際に嘔吐反射が起きた時、具体的にどのような影響を及ぼすのでしょうか。それぞれ解説します。
印象採得に手間がかかる
印象採得の際に、患者さんの嘔吐反射に対応が必要となるので、印象採得に手間がかかるようになります。対応することで印象採得ができればよいのですが、対応してもなかなか嘔吐反射が治まらず、印象採得が進まない場合もあるので注意が必要です。
変形してしまい、再印象の必要が出てくる
印象採得中に嘔吐反射が起きたことで、印象が変形してしまう可能性があります。印象が変形してしまうと、再印象の必要が出てくるので時間がかかりますし、患者さんにはさらなるストレスを強いることになってしまうのです。
負担がかかりすぎると歯科医院にトラウマを持ってしまう可能性もあります。
印象採得の際の嘔吐反射を予防するには
印象採得での嘔吐反射を予防するには、以下の内容の対策を試してみてください。
- 鼻でゆっくりと呼吸をしてもらう
- 顎を引いて少し前かがみになってもらう
- 腹筋に力を入れてもらう
- 唾液が流れるのは我慢しないと伝える
- 印象材を硬めに練和して硬化時間を短縮させる
- トレー圧接までの操作時間を短縮する
これらの対策をとれば、嘔吐反射は軽減するはずです。
子どもはとくに嘔吐反射が強い場合が多い
子どもに印象採得を行う場合、今まで印象をとったことのない子どもはとくに嘔吐反射が強い場合があるので、注意や配慮が必要です。まずは、子どもを緊張させずにリラックスさせることが重要となります。そうした配慮を行ったうえで、以下の対策を行ってみてください。
硬化時間を短くするために、アルジネートを硬めに練る
- のどに流れないようにアルジネートが後方に流れないようにする
- のどに流れないように座った状態で印象を採る
- 鼻で深呼吸するように伝える
- 「足の指に力を入れて」などと支持し、他の部分に意識を集中させる
以上の対応を行うことで、子どもの嘔吐反射のストレスが軽減する場合があるので、ぜひ試してみてください。
嘔吐反射が強い場合は口腔内スキャナーを活用
嘔吐反射は精神的な不安も大きく関係しています。嘔吐反射を克服するほど、患者と医師もしくは歯科助手が信頼関係を構築するのは難しいものがあります。
印象採得前に信頼構築を行うことには無理があるので、どうにもならないときは口腔内スキャナーを使用するのもよいでしょう。口腔内スキャナーでは口腔内を撮影するだけなので、異物を口の中に入れる不快感を感じずに済みます。
嘔吐反射の患者に親切丁寧に対応して印象採得しよう
嘔吐反射は医師にとって厄介ですが、一番つらいのは患者さん本人です。患者さんに思いやりをもって対応し、なるべく患者さんのストレスがない状態で印象採得ができるように努力してください。
逆にここで親切丁寧に対応することができれば、一気に歯科医院への信頼を高めることもできるので、頑張ってみてくださいね。
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