「補綴」と一言で言ってもその中身は幅広くあり、その中で一つでも自分の強みを持つことで今よりも集患できる可能性が高くなるのです。
現在行っている補綴治療についての説明も、再度見直してみるだけでなにかヒントが見つかるかもしれません。
僭越ながら、今回は補綴治療で選ばれる歯科医院となるためにはどのようなことが必要か、ポイントを説明していきます。
補綴治療で選ばれる歯科医院のポイント
補綴治療で選ばれる歯科医院のポイントとして、以下のような点が重要となります。
日本補綴歯科学会会員であること
日本補綴歯科学会では口腔内の機能と見た目を回復させ健康を維持させるために、補綴治療に使う新しい材料や治療技術の開発・研究を行っています。
専門医や認定医になるには規約がありますが、取得のために勉強や症例をこなすことでスキルアップできます。そして補綴治療へ対する知識と自信がつき、患者様からの信頼度も増すのではないでしょうか。
まずは所属をして学会に出向いてみて情報を得るのも良いでしょう。
日本口腔インプラント学会会員であること
日本口腔インプラント学会はインプラントに関する専門性の高い知識、技術を有する歯科医師の養成、インプラントの発展と向上、福祉に貢献することを目的としています。こちらも認定医や指導医などの資格を設けています。
公式サイトに補綴に関するページがあること
歯科医院様のHPで補綴治療に関する説明ページや、症例を紹介することで患者様自身が補綴治療をするイメージが浮かびやすくなると共に、信頼され相談される可能性も高くなります。
公式サイトをあまり充実させていない医院様は再度見直してみましょう。
歯科技工士、技工所との連携
補綴を製作する過程で重要となるのが歯科技工士との連携です。院内技工士がいる場合は
適宜立ち会ってもらいながら治療を進めるとより良い技工物が出来上がるでしょう。
また技工所に依頼する場合も印象や技工指示を的確に出すことはもちろん、コミュニケーションをとることで患者様に満足してもらえる補綴治療が行えます。
コンサルテーションがしっかりしている
患者様への治療の説明は基本です。患者様は想像以上になぜ補綴治療が必要か、どのような手順で行うのかなど知らないことが多くあります。治療を始めてからも疑問や不安が出てくるでしょう。
こちら側からの一方的な説明にならないように、患者様の希望や疑問をくみ取り治療を進めることで信頼を得られます。
最新機器導入でチェアタイムや製作期間が短い
近年はCAD/CAMや口腔内スキャナー等最新機器を導入している歯科医院様も増えてきました。
口腔内スキャナーは印象材を使わないので患者様の不快感が少なくなります。さらに、印象採り直しということも少ないため、チェアタイムが短くなるのです。
口腔内スキャナーによる印象後、CAD/CAMによる設計製造はヒューマンエラーも少なくスピーディーに出来上がるため、印象後にSETするまでの期間も短くなります。
補綴治療の必要性を患者様に説明するポイント
補綴治療がなぜ必要であるか、患者様は意外と理解していません。
実際痛みがないのでという理由から、長年虫歯や抜けた歯の部分を放置している患者様も少なくないのです。
虫歯により痛む、噛みにくい、歯が抜けてしまったことで噛み合わせに問題が出てきたとなれば少しピンとくるかもしれません。他にも発音、見た目、顎関節などにも悪影響を及ぼします。
そしてよく咀嚼をせずに食事を続けていると胃腸に負担がかかることも。
目の前の問題だけではなく掘り下げて、長い目で見るとどんな影響があるかも説明することで治療の大切さや必要性を理解してもらえます。そして協力的な姿勢で治療を進められる可能性が高まります。
患者様に伝えるべき補綴の種類とメリット・デメリット
オールセラミッククラウン
オールセラミッククラウンとは、すべてがセラミックでつくられた被せ物のことです。メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 他の歯の色に合わせられ、審美的に優れる
- 表面に傷が付きにくい
- 経年劣化せず、色が変わらない
デメリット
- 高価である
- 型取りのため、複数回の治療を要する
オールジルコニアクラウン
オールジルコニアクラウンとは、すべてがジルコニアでつくられたかぶせ物のことです。メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 審美的に優れている
- 表面に傷がつきにくい
- 経年劣化せず、色が変わらない
- 硬くて丈夫である
デメリット
- 高価である
- 型取りのため、複数回の治療を要する
ジルコニアセラミッククラウン
ジルコニアクラウンは、外はセラミックですが、中身はセラミックでできているかぶせ物のことです。メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 非常に審美的が優れている
- 経年劣化せず、色が変わらない
- 強度が高い
- 表面に傷がつきにくい
デメリット
- 中身の金属により、歯肉や歯が黒ずむおそれ
- 型取りのため、複数回の治療を要する
メタルボンドクラウン
メタルボンドクラウンは、外はセラミックですが、中身は金属でできているかぶせ物のことです。メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 非常に審美的が優れている
- 強度が高い
- 表面に傷がつきにくい
デメリット
- 中身の金属により、歯肉や歯が黒ずむおそれ
- 型取りのため、複数回の治療を要する
CAD-CAM冠
保険適用されている審美性に優れた白い冠です。メリットとデメリットをまとめると以下の通りです。
メリット
- 保険適用されており安価
- 審美的に優れている
デメリット
- 使用できる歯が限られる
- 型取りをするため、最短でも2回の治療が必要となる
デンチャー
デンチャーとは歯を複数本、もしくはすべて失っている場合に適応する入れ歯のことです。歯が残っている場合は部分入れ歯でその歯に金具をかけ、支えにします。歯が一本もない場合は、歯茎で支える総入れ歯を使います。
メリットとデメリットをまとめると以下の通りです。
メリット
- 健全な歯をほとんど削る必要がない
- 取り外しができるので手入れが簡単
- 保険適用(保険外の場合もあり)
デメリット
- バネをかける歯に負担がかかる
- 噛みにくいものもある
- 入れ歯の手入れをする必要がある
- 発音しにくい場合がある
インプラント
インプラントは歯を失った部位の歯肉に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を被せる補綴物です。
メリットとデメリットをまとめると以下の通りです。
メリット
- 健康な歯を削る必要がない
- 入れ歯よりも咀嚼がしやすい
- 審美性が良い
デメリット
- 保険外治療のため高額
- 期間が長い
- 手術が必要
インレー
インレーは限られた部分の虫歯、欠け等で治療をした際に入れる詰め物のことです。
患者様にとってのメリットは、保険適用(保険外もあり)で、レジンよりも強度が高いことです。
デメリットとしては、保険治療だと銀色なので審美性が劣ることが挙げられます。
ブリッジ
ブリッジは歯を1~2本失った場合に、その両端に残った歯を削り土台にし、橋を渡すようにして人工の歯を被せる補綴物です。稀に3本以上失っている場合も適応するロングブリッジもあります。
固定式のため、違和感が少ないことがメリットです。保険適用(保険外もあり)でもあります。
デメリットとしては、土台となる健康な歯を削る必要があることです。土台の歯には負担がかかります。
また、歯肉と補綴物の間に食べ物カスがつまりやすいこともデメリットです。
患者様に補綴治療のメリット・デメリットをしっかり伝えよう
補綴治療は幅が広いからこそ、強みにすることで様々な患者様の治療を行うことが出来ます。
痛みを取り除くだけではなくさらに生活をしやすくなるような治療を行えるように、日々技術の研鑽、情報のアップデートは重要です。
知識と技術、そしてコミュニケーションによって目の前の患者様に真摯に向き合うことでの信頼度が上がり、評判は口コミでも広がるでしょう。
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