3Dプリンターは最近出来たものだと思っている方も多いかもしれませんが、実は1980年代にはすでに発明されていました。
その後技術の進化とともに3Dプリンターは建築や工業、医療分野などさまざまな分野で認知され使われるようになっていったのです。
そんな中、歯科医療のジャンルでも3Dプリンターを使う場面が増えてきています。実際にはどのような製品があるのか紹介します。
歯科用3Dプリンターとは?時間短縮に多大な貢献
歯科用3Dプリンターとは、歯科医療に使われる被せ物などの技工物を機械で製作できるものです。一般的に歯科ではなく、歯科技工所で使用されます。
従来行っていた作業がパソコンや機械製品によって出来上がります。
歯型の印象をとり模型を作っていた部分は口腔内をスキャンする3Dスキャナーによって行うのです。
2014年4月から一部の歯に関してCAD/CAMの使用を条件としてハイブリッドレジンの使用が、保険の適応となりました。そのことがきっかけとなり歯科業界で3Dスキャナーの普及は加速しています。
これまで歯科の治療時間のうち、補綴物の作成によって多くの時間を消費していました。補綴物の作成時間が短くなれば、治療時間の大幅な短縮がのぞめます。
設計はパソコン上でCADによって行い、鋳造などの部分をCAMによって、ブロックの切削で作っていく、という流れです。
これまで歯科医院で印象を採り、採った印象を歯科技工所に送ってから、歯科技工士が補綴物を制作していました。
しかし、現在では歯科医院で口腔内スキャナーで口腔をスキャンしたデータを歯科技工所に即送れるので、補綴物を制作する時間がかなり短縮されるようになったのです。
代表的な歯科用3Dプリンター6選!特徴も解説
現在出ている歯科用プリンターの中から厳選して6つ紹介いたします。
form3
- 価格:¥575,000(税抜き)
- メーカー:Formlabs
【おすすめポイント】
- 新技術LPU( Light Processing Unit )によりさらなる精密さを実現
- 造形物との接点の少なくし、サポートが取り出しやすい
- オンライン対応のため、どこにいてもプリンターの動きがわかる
人気のあるForm2からさらに進化したシリーズのForm3。大きな違いは光学部のユニット化です。ユニットで動きながらレーザーが照射されるので、どこでも同じXYの平面で25ミクロンの造形精度を保てます。
カタナ® 3Dプリンター DWS-020D
- 価格:¥4,900,000(税抜き)
- メーカー:クラレノリタケデンタル
【おすすめポイント】
- カルバノスキャナー採用
- リフティングシステムにより樹脂量削減
- 幅50μmのレーザー光により高精度の模型造形が可能
吊り上げながら光造形を行うリフティングシステムを採用しています。
吊り上げ式なので、光造形スピードに合わせて台座を持ち上げることによって、少ない樹脂で造形が可能です。
rapidshape D20Ⅱ
- 価格:¥2,800,000(税抜き)
- メーカー:ラピッドシェイプ
【おすすめポイント】
- 自動取り外し機能搭載
- フォースフィードバック
- DLP造形システム
DLP造形システムと特許取得されているフォースフィードバック(FF)機構のある機種です。高精度でさらにスピードも速く製作できます。
ProJet MJP 2500 Plus
- 価格:¥7,458,000-(税抜き)
- メーカー:3D Systems
【おすすめポイント】
- エッジが鋭く高精度
- 速度アップにより作業効率アップ
- シンプルでわかりやすい
3DSystems社製インクジェット方式の3Dプリンターで24時間いつでも高精度な造形が可能です。エッジも鋭く仕上がり、模型製作に向いています。
DWP-80S(デンタル用3Dプリンター)
- 価格:¥1,800,000(税抜き)
- メーカー:ローランド ディー.ジー.株式会社
【おすすめポイント】
- デンチャー専用
- 複数個同時に造形することが可能
- 簡単操作、3ステップ
技師製作に必要な「カスタムトレー」「ベースプレート」「フレームワーク」を複数個同時に造形することができる広いワークエリアが特徴です。ソフトウェアの使い方が簡単で、後処理がしやすい点も魅力となっています。
Varseo 3D Printer
- 価格:¥2,380,000(税抜き)
- メーカー:BEGO
【おすすめポイント】
- 短時間で効率よく製作
- 面で製作するため高精度
- オリジナルCAMソフトで技工所最適化
プロジェクター投影方式(DLP方式)を採用し、面で造形するため、効率的な造形が可能です。また、独自のカートリッジ方式で造形後にカートリッジに入れたまま、残った樹脂を保管ができます。
そのため、材料のコストパフォーマンスも良くなるのです。
歯科用3Dプリンターの使用手順
歯を削る
チェアサイドでいつも通り丁寧な形成を行います。
光のスキャナーを使って歯の形をスキャン
角度を変えながらまんべんなくスキャン。
パソコンのソフトを利用し被せ物の形を設計
パソコン上で理想的な形に設計されます。出来上がったものをチェック。
3Dプリンターにより出力
被せ物のセラミックになる前工程の製作パターンや各種樹脂模型を造形し、途中エラーなどが起きないか気を付ける。
プレスや鋳造等で被せ物の完成
いつもの鋳造物と同じように、試適を行い、適宜微調整を行います。
歯にSET
問題なければSET、咬合調整を行います。
歯科用3Dプリンターを使うメリット
術者の技術に左右されにくい
従来の模型を作るための印象作業が3Dスキャンで済むため、出来上がりが印象の精度に左右されるということがなくなります。
治療時間短縮
こちらも3Dスキャンを行うことによって、印象→模型作成という作業を省く事もできるので、チェアサイド時間も製作にかかるまでの時間も短縮できます。
コスト削減
いままで製作までにかかっていた材料だけではなく時間などさまざまなことが削減されるためコストパフォーマンスが良くなります。
歯科用の3D プリンターを上手に活用しよう
歯科用の3Dプリンターは、これからもまだまだ普及していくことが考えられます。補綴物の作成に時間がかからなくなるので、治療時間の短縮を実現させてくれる上に、治療の精度も上がるのです。印象を採る時に、患者さんに負担を与えない点もメリットと言えます。
これからの歯科治療に3Dプリンターはなくてはならないものになるでしょう。
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