歯科医療も急速にデジタル化が進み口腔内スキャナー、CAD/CAM、3Dプリンターを利用した治療や技工も盛んになってきています。
とくに口腔内スキャナーに関しては患者様への負担が減ることなどメリットの多さから今後需要は増していくでしょう。弊社でも複数の口腔内スキャナーを導入し、対応しています。
この記事では口腔内スキャナーを導入した方がよい理由や、口腔内スキャナーの主要4社の特徴を解説していきましょう。
口腔内スキャナーとは?
そもそも口腔内スキャナーとはどのようなものなのでしょうか。仕組みや使用方法についてご紹介します。
口腔内スキャナーの仕組み
口腔内スキャナーとはデジタル印象採得装置として薬機法で管理医療機器(クラスⅡ)の承認を得ています。
今までの印象採得ではトレーに印象材を流し込み、歯型をとっていましたが、口腔内スキャナーは歯列を撮影しデータ化を行い、パソコンへ送信。そして技工物の製作に使う歯型や技工物をパソコン上で設計し3Dプリンターで製作することができるのです。
口腔内スキャナーの先端部には光源とミラーが付いています。先端部を口腔内に入れることで、歯列などの対象から反射された光をミラーで口腔内スキャナー内に屈折させ、情報を読み取るのです。
反射した光がどのくらいの時間でセンサー内に到達するかという差を使って、立体を認識させます。
口腔内スキャナーの一般的な使用方法
メーカーによって多少の差はありますが、基本は口腔内スキャナーを口腔内へ挿入して、歯列に当ててスキャンしていきます。
そのスキャンしたデータを送信して、技工物製作のためのやりとりを行うのです。
口腔内スキャナーのメーカー4社比較
弊社で取り扱っている口腔内スキャナーメーカーの4社を比較します。
CEREC
主要製品「CEREC Omnicam」
- パウダーフリースキャン
- フルカラームービー撮影
- 患者コミュニケーションツール搭載
本体総重量:44kg
本体サイズ(mm)W415×H1210×D470
希望医院価格:11,250,000円(2020年5月現在)
CEREC製品の特徴
- ・対応症例が多い
- ・操作性が良い
- ・フルカラーで色彩良好
全世界シェアナンバーワンで人気なのがCERECです。
インプラントや多数歯ブリッジなどにも対応可能であるため、補綴治療が多い場合におすすめできます。
多くの支持を得ている定番のメーカーです。
iTero
主要製品のスペック「iTeroエレメント5D」
- Niri(近赤外線)搭載
- フルカラー
- 19インチ高解像度マルチタッチディスプレイ
キャスター付きスタンドサイズ(mm):H131.7×W62.5×D59.5
ワンド部重量:500g
コード長:1.75m
希望医院価格:オープン価格
iTero製品の特徴
- スキャンが速い
- 正確で適合が良い
- 誤差が少ない
歯科矯正のための口腔内スキャナーの中でアライン・テクノロジー社のiTeroも人気を集めています。主な用途はマウスピース矯正、特にインビザラインのための印象です。
また、近年では補綴用としての普及が急速に伸びています。
精密印象が必要となる、舌側矯正装置製作のための印象にも適しています。矯正歯科での導入がおすすめです。
TRIOS
主要製品のスペック「TRIOS® 3 オーラルスキャナ モデルS2P ペングリップタイプ」
- パウダーフリー
- RealColorスキャニング
- シェード測定機能
- HDフォト機能
重量:373g(バッテリ含む)
本体サイズ(mm):W150×H50×D60
希望医院価格:6,800,000円(2020年5月現在)
TRIOS製品の特徴
- 本体が軽い
- 精度が高い
- 拡張性がある
TORIOは本体が軽いため操作性が良く効率良いスキャンが可能です。
また他社製品の3Dプリンターでも組み合わせて使えるオープンシステムであるため、対応可能なラボの選択肢も増えます。
自院で技工は行わない場合に、導入を検討してみるのはいかがでしょうか。
3M
主要製品のスペック「3Mトゥルーディフィニションスキャナー」
- 約60秒高速スキャニング
- 青色LED搭載
- オープンシステム採用
本体サイズ(mm):W48.8×H108.2×D73.4
総重量:70kg
ワンドおよびケーブル重量:233g
ケーブル長:2m
希望医院価格:4,580,000円(2020年5月現在)
3M製品の特徴
- 安い
- 小型軽量モデル
- スキャンが速い
多くの歯科製品を扱う3M社の口腔内スキャナーです。
こちらもオープンシステムであるため拡張性がありますが、何より他の口腔内スキャナーよりも半額程度と安く、小型軽量という点が操作性も良く導入しやすいポイントといえるでしょう。
コストを抑えて口腔内スキャナーを導入したいという場合におすすめです。
口腔内スキャナーを活用するメリットとは?
口腔内スキャナーを用いることによってどのようなメリットがあるのかご紹介いたします。
患者負担軽減
トレーの試適から始まり、冷たい印象材を口腔内に入れるのは患者様にとって負担であり、不快に感じる方も多く存在します。
口腔内スキャナーならば、先端部を入れてスキャンするのみ。口を開けているのが辛い場合は休憩もできます。
ヒューマンエラーが減る
印象材は練り方、口腔内への挿入、その後の硬化待ちなど様々なシーンで経験とスキルが必要とされます。また経験を積んだ先生であろうと印象のとり直しは幾度となく経験があるでしょう。
口腔内スキャナーの場合、慣れは必要となりますが印象材のようなヒューマンエラーは起こりません。再印象が不必要となるのは、術者だけではなく患者様の負担も減ります。
石膏や印象材の消費削減
印象採得時には印象材、その印象に注ぐ石膏が毎回必要となりますが、
口腔内スキャナーではその必要はありません。またラボへ模型を送る際の送料もかかりませんので材料費と共にコストカットが可能です。
データ管理可能なため場所を取らない
患者様が増えるごとに模型管理にお悩みの先生も多いでしょう。
模型や印象を雑に扱ってしまうとかけてしまいますし神経を使う部分でしたが、デジタル化することによって場所を取らず安全にデータとして残しておくことができるのです。
口腔内スキャナーを活用するデメリットとは?
口腔内スキャナーのメリットを多く挙げてきましたが、デメリットもちろんあります。
初期費用がかかる
口腔内スキャナーはまだまだ高額で500万円~と、投資額としては高いのが実情です。
それに見合った患者数、症例があるかなど検討する必要があります。
対応可能技工所が少ない
まだデジタル技工に対応できる技工所は少ないのが現状です。対応していてもメーカーが違うため取引できないこともあります。
弊社では口腔内スキャナーに対応しておりますし、今後デジタル化が発展するとともに、デジタル化に対応可能な技工所は増えていくことでしょう。
口腔内スキャナーからデジタル化へ
歯科医療のデジタル化は今まさに発展期です。
従来の方法にももちろん良い面がありますが、時代に即した機器を導入することは患者様へ良い治療を提供することへつながるでしょう。
弊社では今回ご紹介している4種類の口腔内スキャナーを取り揃えています。
また、その他のメーカーの場合もSTLデータの受注が可能です。デジタル技工をお考えの際はお気軽にご相談ください。
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