2018年9月発行
近年、ジルコニア材料を始め新規材料などがますます増え、既存の接着方法では十分に対応できないとの声を多く聞かれています。今回はその中でも特にご質問の多い“ジルコニア製品の接着”についてご紹介させていただきます。
ジルコニア製のクラウンやフレームを口腔内で一度試適する際、唾液や血液などの汚染により「接着力の低下」を招くと言われています。唾液等による汚染は必ず起こるものとされ、特にセラミック・貴金属・卑金属の歯科用材料とは吸着性が高く、非常に除去しにくいため、洗浄方法として“水洗い”や“リン酸エッチング剤”によって処理されることがあります。しかしながら、ジルコニア製補綴物の場合は、水洗いはもちろんのこと、リン酸エッチング処理による洗浄は不適であるという指摘が散見されており、接着力の低下を招き、脱離や破折等につながるとされています。これはリン酸が表面を不活性化させ、接着に必要な化学反応を著しく阻害させてしまうことで、接着力の低下を招いてしまうためです。<図1>
そこで最近では、各メーカーから専用のクリーニング材が発売されています。接着力に影響を及ぼす「試適後の唾液や血液に含まれるリンタンパク汚染」を除去することで、接着剤本来の性能を引き出すことができるようになります。口腔内の様々な環境のなかで、たくさんの接着剤、接着方法から最適な方法を選択することは難しいのが現状です。ジルコニアに対しては、“クリーナー”としての機能以外に“プライミング効果”も期待できるため、接着のサポート材として推奨されています。