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日本国際歯科大会2023を終えて

日本国際歯科大会2023を終えて

2023年11月発行 No.132 / 記事執筆:渡部

日本国際歯科大会2023に参加しました

ワールドデンタルショー2023

今月のすりーびー通信は、先月パシフィコ横浜で開催されました第9回日本国際歯科大会2023の参加レポートをさせていただきます。ここ数年はコロナ禍の影響もありまして、実に2018年以来の5年ぶりの開催となりました。

今回で9回目の日本国際歯科大会では、世界的に活躍されている海外演者37名の先生方、日本国内の一流演者の先生方々を含めた延べ総勢500名を超える演者による大変貴重な講演でした。久しぶりの国際歯科大会ということもあり、現代・次世代を担うトップレベルの先生方やどの講演も非常に魅力的な内容のものばかりでした。人気の会場では立ち見席でも満員になってしまうくらいの賑わいを見せていました。講演自体は、すぐに活用できる内容や努力を積み重ねなければならない内容などとてもいい学びと刺激になった3日間だったと思います。今回の内容を弊社スタッフ間でも共有し、お客様の期待にお応えできる補綴物の製作に役立てていきたいと思います。

またワールドデンタルショー2023では、同大会と併せて日本臨床歯科学会(SJCD)、CID club、5―D JAPAN、JIASなどのほか、多くのスタディーグループと一流演者がセッションされる兼ね合いもあり3日間で5万人を超える多くの歯科医療従事者で賑わう大盛況なデンタルショーでした。やはり中でも注目されるものとしては、各社メーカーの口腔内スキャナーやCADCAM等のデジタル関連機器ですが、最新機種の性能・利便性に多くの方々の関心が寄せられていました。そのほか、新たに口腔内スキャナーを販売する企業やCADCAM冠の連結冠対応のレジンブロックを開発する企業など、保険対応などを見越した様々な動きが見受けられました。

日頃、多くの製品はWebやパンフレットなどで見かけますが、やはり現場で見て触ってメーカーさんの実際の声などを聞いて体験できることは大変貴重な時間だと思いました。4年後のデンタルショーでは、また新たな技術・製品などが進化して性能・利便性において画期的なものがますます増えてくると思われます。次回開催は2027年ですが、今より一段と想像を超える大会になることを期待したいと思います。

参加者レポート

営業チーム M

参加セミナー内容

DTセッション「歯肉調和」「INP上部カントゥア」「INPポジション」「情報と伝達」
DRセッション「ラミネートベニア」

【DT関氏】
歯肉調和はデントジンジバルコンプレッション(周辺組織の解剖学関係)を知ることが大事になる。ジンジバルフォーム、ゼニスポイントやカントゥアガイドラインを考慮してスリープレーンコンセプトに基づき歯冠を作り調和を図る。

【DT上原】
埋入後前歯市肉厚みの回復にはプロビカントゥア形態で調整する。埋入直後のプロビカントゥアはL形態が良く、そこに歯肉が倒れ込んできて伸びる。「傷の治療の原理」で歯肉が膨らむ。

【DT志田】
INPポジションと破折。破折の多くはポジションが悪いのが大多数でガイドを使うことが重要。フルマウス等では必ずアクセスホールがフレームの中心にくるように。

【Dr.StefenKoubi】
NonPrepベニアはまずモックアップをおこなう。ベニアはプレスタイプのマテリアルのみ使っている。ボンディング時はラバーダムで防湿する。NonPrepでエナメル質の温存が大事な理由はボンディングがしやすい、光が吸収して象牙質の変色をマスキングする。

【Dr大河】
ベニアは内面適合が重要。モンゴロイドは白人よりテクスチャーが強いから接着がつきづらい。

【Dr小林 & Dr二宮】
昨今の連絡法はLINE等様々なSNSがあるが、細かいニュアンスを伝える手段として最終的には電話が一番。DTと2時間近く話してしまうこともあった。シェードガイドの位置(あてがう距離)によって色味が大きく変わってしまう。支台の色も重要でナチュラルダイマテリアルでシェードテイクをおこなう。

感想

DT関氏から初日初回に「私たち技工士が作る補綴物は、まず患者様の健康と機能を維持することが目的」を話していて、感銘を受けた。どの方々も研究と勉強を重ねていて歯科発展に対する熱意がすごく、そこに職種の違いはないと感じた。今回、国際鹿大会の方には初めて参加し、印象的だったのは、実技応答の時間がないのだなと違和感を感じた。ある方はセッションの最後に「あくまでも一つの考え方であって、Drとの会話の際に知識として活用してほしい」と話していた。逆にまだエビデンスがなく、このような研究、臨床を重ね形づいていくためその場がなかったのかと、改めてトップレベルのセミナーに参加していることを実感した。そこに職種や経験、年齢の差はなく私も勉強していこうと更に思う気持ちになった。

技工チーム K

参加セミナー内容

セッション 顔貌と調和する補綴装置を考える/MI時代の補綴・修復装置

  • データ上での計画、スマイルシュミレーション(3shape)
  • デジタルトランスファー、デジタルデータ、デジタルプロビ(excad)
  • 無呼吸と咬み合わせの関係
  • モノリシックフェイススキャン
  • 接着Brベニア(0.4mmまでエナメルを残す)
  • セファロ画像診断システムについて

セッション CAD/CAMシステムを使いこなす(前)/コラボレーションによる補綴咬合治療

  • DOS(ドクターオリエンティッドシステム)
  • 接着ベニア Kern Methoud 4ルールについて
  • デジタル化
  • 接着 コンポジットとレジンセメントの有利的

感想

今回は特にラミネート、接着Brのデジタルによる制作についての講演を聞くことが多かった。MI(ミニマルインターベーション)= なるべく歯を削らない治療。より薄く丈夫なものを求めるとき、壊れない技工物をつくるには、咬合・愛量の知識がより必要になってくると感じた。形態や色、咬合も、今はデジタルデータでおこなえるようになっているが、それを理解し活用するにも知識がないとできないものであり、演者すべてアナログ技工ができないと扱えないと悟っていた。

研磨剤のペルーラダイヤは機会があれば先生にお勧めしたい商品だった。

技工チーム S

参加セミナー内容

  • セラミストにとっての必要な知識と材料の解説
  • 天然歯の明度、彩度の分析方法
  • 「美」を極めるために必要な形態と色調再現
  • モノリシックジルコニアへのステイニングテクニック
  • 歯科医院様とのコミュニケーション
  • 色調再現のためのポイント
  • プレスセラミックスの製作法に関する注意点

感想

日本国際歯科大会2023mp講演会に参加し、多くの技工士の方々の話を聞かせていただきました。今回の講演では、今後すぐに活用できることから、まだまだ知識を付けないと活用できないことまでありましたが、現在仕事内で任されているジルコニアレイヤリングのことに関しては、実践していきたいと思います。全体的に色調関係のセッションの参加が多かったですが、私が少し疑問に思っていたことも少し理解できました。山本眞先生の「ザ・メタルセラミックス」の話が色々な技工士さんから出されており、この本の重要さ、ポーセレンクラウンの原点なんだと改めて思いました。読んだからといって出来るわけではないので、今後はハンズオンセミナーにも参加していきます。

技工チーム U

参加セミナー内容

【片岡さん】
「山本眞先生が残してくれたこと」エナメル質、象牙質の特性を解明。セラミストにとっての必要な知識と材料の解説。

【瓜阪さん】
「天然歯の模倣」ポーセレン多色築盛法とステイン法の模倣テクニック。

【小田中さん】
「明度の新しい分析法」一般的に明度は白から黒。天然歯牙の明度を解析する方法。

【西村さん】
「ザ・メタルセラミックス」美を極めるために必要な形態と色調再現を深掘り

【林さん、吉田さん】
審美性を高めて患者様の満足を高める適切なステップ

【鈴木さん】
「モノリシックジルコニアクラウンへのステイニングテクニックにおける成功の導き方」

【鬼頭さん】
モノリシックジルコニアへのアプローチ方法

【野村さん】
担当医とコミュニケーションを取りながら歯周組織の安定を含めた総合的調和

【薄井さん】
色調再現のためのポイント

【佐々木さん】
WEBサイトやSNS等で情報を探し当て、デジタルでの調整方法の考え方と、そてに伴う写真の撮り方

【赤坂さん】
プレスセラミックスの製作法に関する注意点

感想

今回、日本国際歯科大会2023に参加し、著名人の方々の話を聞き、色調形態や築盛の仕方などの詳しい話を聞けてとても勉強になり、参加して良かったです。主に、色調、色彩のセッションに参加しましたが、明度、彩度のことは全然詳しくなく、聞いていて理解するのに必死だったが、大事さを知り、すぐ実践できるので意識してやっていこうと思います。色の勉強もしてみようと思った。形態に関しては、普段左右同じシンメトリーで作る意識をしていたのですが、数名の方が「アンシンメトリーで作り、患者様の満足度を上げる」「同じものを作るのはナンセンス」とおっしゃっていて驚きました。全体的調和がしっかりとれていれば自然な仕上がりになるので、これからはそういう仕上げ方も頭に入れて技工に取り組もうと思います。いろいろな本、セミナーに行き、情報と知識を取り入れてスキルアップしていきます。まずは山本眞先生の「ザ・メタルセラミックス」を読んで勉強していきます。

CADチーム S

参加セミナー内容

セッション 補綴装置のContourを考える

【関先生】
歯周組織との関係、ゼニスポイント、カントゥア、歯肉との調和を考慮した形態を作る。

【上原先生】
インプラントは歯肉厚みが多い方が良い。術後の歯肉と治療状態の歯肉を考慮し、プロビはレスカントゥアにする。

セッション インプラント技工の現在

【志田先生】
アクセスホールの位置により破折を防止できる。

セッション CAD/CAMシステムを使いこなす

【前半】

  • チェアサイドとラボサイドのコミュニケーションの重要性
  • デジタルとアナログの融合。フェイスデータでスマイルラインなどを実際の口腔内の状態で再現できる

【後半】

  • シークエンシャル咬合の重要性
  • 材料による強度と色の違い

感想

今回の研修に参加させていただき、自分の知らないことに触れる機会が多くて勉強になることばかりでした。前回参加させていただいた時よりも、先生の講演の内容や企業のブースにも、IOSなどのデジタル関連のものが増えており、歯科業界の発展・進歩が感じられました。実際の臨床例も数多く見ることができ非常に印象的でした。患者様が満足する技工物をつくるために、チェアサイドとラボサイドのコミュニケーションを一層強化していきたいと感じました。

CADチーム I

参加セミナー内容

セッション 補綴装置のカントゥアを考える

立ち上がりによる歯肉への影響、歯肉操作

セッション 矯正歯科医療と補綴治療

セファロと矯正の話が主でした

セッション CAD/CAMシステムを使いこなす <前半>

デジタルの利点、デジタルとはビギナーに向けて

セッション CAD/CAMシステムを使いこなす <前半>

自社の具体的な工夫

感想

インプラントの上部構造の立ち上がりについてストレートではなくS字で圧排を少ないデザインにするという先生がいらっしゃったので、さっそく取り入れてみたいと思いました。PMMAを削るとCAM機の寿命が短くなるので、ジルコニアと分けた方がよいとのことでした。こちらも取り入れていきたいと思いました。伊藤竜馬先生の製作内容がスリービーと似ていたが、タイザンフレームのデザインが違ったので詳しく聞きたいと思いました。

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