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支台歯形成に用いるバーを解説!前歯・小臼歯・大臼歯による違いは?

支台歯形成に用いるバーを解説!前歯・小臼歯・大臼歯による違いは?

支台歯形成に用いるバーの種類にはどんなものがあるのか、たくさん種類がありすぎて分かりにくいですよね。

前歯・小臼歯・大臼歯それぞれの支台歯形成に用いるバーと形成のポイントを解説していきます。

支台歯形成とは?どんな時に必要か

支台歯形成とはどんなものなのか、まずは簡単にご説明します。

支台歯形成とは?

支台歯形成とは、クラウンやブリッジを製作するにあたり支台歯を製作する歯冠補綴装置に適応した形態に切削・形成することです。

歯冠補綴装置の製作にあたり、必要かつ十分な歯質切削量で連続するフィニッシュラインを有する理想的な形態の支台歯形成を行うことが必要とされます。

支台歯形成とマージン

支台歯に適切なマージンの形態を与えるために、シャンファー、ショルダー、ベベルなどの形態に合ったダイヤモンドバーを選ばなければなりません。

各メーカーからさまざまな種類のバーが販売されていますが、基本的な形態は同じです。

適切なバーを選択することで歯質切削量を最低限にし、効率的な支台歯形成を行うことができます。

支台歯形成に用いるバーとは

基本的に用いるバーは、軸面形成用のバーと咬合面形成用のバー、隣接面形成用のバーです。支台歯形成に慣れてくると使い勝手の良いバーが見つかります。

熟練の歯科医師でもそれぞれ好みのバーは異なり、このバーでなければ支台歯形成ができないということはありません。

シャンファーバーにもメーカーによって様々な形態があり、咬合面形成用のバーには、洋ナシ型・たる型・つぼみ型などがあり、バーの名称はメーカーによって異なります。

隣接面形成には、スライスカットバーを用います。

作製する冠の材質によってマージン形態やクリアランス量は異なるので、歯冠補綴装置の材質を選択してから必要最低限の歯質切削量で支台歯形成を行わなければなりません。

支台歯形成に用いるバーとポイントは?前歯・小臼歯・大臼歯を解説

前歯、小臼歯、大臼歯の支台歯形成に用いるバーや、ポイントについて解説しました。

前歯の支台歯形成

上顎前歯の唇側の支台歯形成では、オールセラミッククラウンよりも前装鋳造冠(レジンやセラミック)の歯冠補綴装置の方が、金属色を透過させないようにするために歯質切削量は多くなります。

上顎前歯の舌側の形成は歯頸結節部の過大な削除を避け、軸面の高さを与えましょう。

そうすることで、歯冠補綴装置の脱離が起こりにくくなります。舌側は下顎前歯が咬み込むため、必要なクリアランス量は確保するように注意してください。

下顎前歯は歯が小さく細いので、形成後に支台歯が細くなりすぎる傾向があります。歯質切削量が過剰にならないように注意が必要です。

下顎前歯の舌側の形成は、上顎とのクリアランスには関係しないので最低限の切削量に留めておきましょう。

前歯のフィニッシュラインの位置は、頬側から隣接面は歯肉縁下0.5mm、舌側は歯肉縁とします。

小臼歯の支台歯形成

小臼歯の支台歯形成では、形成軸を基本的に歯軸と一致させ、咬合面のクリアランスを十分確保します。クリアランス量は歯冠補綴装置の材質によって、適切な量が異なるため注意が必要です。

小臼歯では遠心面は直視しにくいため形成が難しいのですが、移行的なフィニッシュラインとなるように様々な角度から確認しながら形成します。

フィニッシュラインの位置は、頬側は歯肉縁か歯肉縁下0.5mm、舌側は歯肉縁です。

小臼歯によく用いられるCAD/CAM冠は、一般的に1mm以上のクリアランスが必要となります。

具体的にはマージン部や軸面部では1〜1.5mm、咬合面では1.5〜2mmのクリアランスが必要です。

マージン形態はラウンドショルダーやヘビーシャンファーなどにし、支台歯全体として鋭角的な部分がないように丸みを帯びた形態にしなければなりません。

金属製の歯冠補綴装置よりも、支台歯形成に求められる条件は厳しいため注意しましょう。

大臼歯の支台歯形成

大臼歯の支台歯形成も、基本は小臼歯と同じように行います。

大臼歯は小臼歯よりも遠心面が見えにくいため、さらに頬側や舌側から遠心面にかけてのフィニッシュラインが移行的になるよう形成を心がけましょう。

とくに第二大臼歯や第三大臼歯の形成では、対合とのクリアランス量を確認しづらいため、ユーティリティワックスなどを用いて入念に確認しましょう。

フィニッシュラインの位置は、全周で歯肉縁とします。

支台歯形成において注意すること

どんな種類の歯冠補綴装置を製作するかによって、形成に必要な切削量やクリアランス量が異なるため、事前に患者さんとよく相談をして種類を決定しておきましょう。

ミニマルインターベンションの理念に基づき、最低限の歯質切削量にするよう心がけ歯冠補綴装置が脱離しにくい支台歯形成を目指してください。

最終的な理想的支台歯形態を頭に入れて、支台歯形成を行うと良いと思います。

まとめ:支台歯形成のバーを適切に選べるようになろう

支台歯形成は、歯科治療の中でも毎日行う処置です。

理想的な支台歯形成ができるよう、まずは模型などでしっかり練習しましょう。

どんなバーを使って、どこからどういう手順で形成していくかシミュレーションをしていきます。模型上で理想的な形成を行うことができなければ、患者さんの口腔内で形成を行うことは難しいでしょう。

模型上で思い通りの形成ができるようになると、実際に患者さんの口腔内で形成を行うことにも慣れていきます。

理想的な支台歯形成を行い、脱離しにくい歯冠補綴装置を作製できるようになってください。

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