今いる病院から独立して、歯科医院を開業しようと考えている歯科医師の方は、「本当に大丈夫だろうか」という悩みが尽きないのではないでしょうか。
実際、歯科医院を開業して成功させるのはそこまで甘くなく、けっこう厳しい世界であることは事実です。
しかし、それでも開業医として成功したいという人は多いと思います。
そこで、この記事では歯科医が開業する前に注意すべきポイントをまとめました。
ぜひ開業する前に参考として読んでみてくださいね。
歯科を開業するメリット
まず、開業して歯科医師をやる場合、メリットは以下のようなものがあります。
- 自由に開業地を選べる
- 内装・デザインを自分好みにできる
- イメージがついていないので新鮮さがある
- 新しい医療機器などを設置できる
自分が思い描く「理想の歯科医院」を形にできるのがもっとも大きなメリットだと言えます。
新しくつくる歯科医院には、地域から何もイメージがついていないので、イメージを自分自身でつくっていくことになるのです。
自分自身で開業地が選べるので、自分で歯科が求められていると思える場所で治療をできるのも大きなメリットだと言えます。
歯科を開業するデメリット
歯科を開業するメリットが数多くある一方で、デメリットも存在します。
歯科医を開業する主なデメリットは以下の通りです。
- 投資費用が多くかかる
- 必要な手続きがたくさんある
- 知名度がないので認知に時間がかかる
- 関係作りを一からしなければならない
歯科を開業し、経営を軌道に乗せるのはたいへんなことです。
もちろんやりがいはありますが、そのためにたくさんの投資を行い、リスクを負うことになるのが最大のデメリットでしょう。
開業するときには「本当に資金をかけてもうまくいく見込みがあるか?」という観点で準備する必要があります。
歯科の開業までにかかる期間は?
歯科医院の開業は、物件が決まってから、6~7ヵ月はかかると思った方がよいでしょう。
したがって、自分が開業したい月から逆算して、6~7ヵ月前にテナント物件の契約を結べるように、テナント・オーナーと契約交渉を進めていく必要があります。
無理のないギリギリの最短準備期間は、物件が決まってから開業日まで4ヶ月半程度でしょうが、あまり焦って準備することはおすすめしません。
期間が短いと複数のディーラーから相見積もりを取って比較する時間がなかったり、交渉期間が短くなって十分な交渉ができなくなるからです。
開業資金の融資には意外と時間はかからず、むしろ必要な融資額を決めるための作業に時間がかかるという点も頭に入れておくとよいでしょう。
歯科の開業に必要な3つの手続き
歯科医院の開業に必要な手続きは以下の3つです。
歯科医師会に入会
開業地の地元歯科医師会へ相談し、入会手続きの準備をしましょう。
開業する際は、近隣の歯科医院に挨拶に行くことも忘れてはいけません。
開業後は長くその地で歯科医院を構えることになります。周囲とよい関係を築いていくことによって、後々助かることも多いのです。
保健所に開業届(医療機関としての届出)
開業地の所轄保健所へ出向き、事前に必要な書類などについて相談しておきましょう。
保健所に開設届、エックス線装置設置届などを提出します。
所轄厚生局に指定申請(保険医療機関としての申請)
保健所で診療所開設届が受理された後に、保険医療機関指定申請を所轄厚生局の窓口で申請してください。
歯科の開業資金はいくら?
歯科医院の開業資金に平均4000~5000万かかると言われています。
テナントで5000~6000万円、自宅開業で1億2000万円以上の資金が必要となり、銀行借入で準備するケースも多くあります。
開業地決定後に、担保物件、保証人を準備し、銀行で交渉するのです。
必要資金額が準備できない場合には、親族からの借入、リースを組み合わせながらの資金準備を行います。
実際に動き出すと予算以上にかかってしまったということも多いので、金融機関からの借り入れは必要な金額の500~1,000万くらい多めに借りておくのが無難です。
経営面を最優先!歯科の開業地を探すポイント
開業地を選ぶときは、個人的な感情を無視して、経営面を最優先させて開業地を選ぶことが最重要となります。
院長の経歴、目指す方向性から、そのような歯科がもっとも求められている開業地を選択するようにしましょう。
歯科医院の競争は激化しており、年々生き残るのは難しくなっているのです。
また、地域によって求められる歯科医院のスタイルが違うことも認識しておく必要があります。
ビジネス街や都会中心部では、働いている大人から信頼されるように、ハードもソフトも最新鋭の歯科医院作りが必要です。
住宅地では、診療圏拡大のための駐車場の確保が必須ですし、子どもへの対応に力を入れることで、地元住民への高い評価を得やすくなります。
また、物件選びも重要です。
テナント開業は初期投資金額を抑えられるというメリットはありますが、長期的には賃貸でテナント代を払い続けることになるので損です。
居抜き開業も初期投資を抑えることができますが、元歯科医院のイメージを引き継いでしまう恐れがあるので、注意が必要となります。
開業歯科医の2割は年収300万円以下!歯科開業後の年収
日本歯科医師会が発行した「歯科医療白書(2013年版)」には、開業歯科医の約20%は年収300万円以下、それと同じ約20%が年収3000万円だとされています。
年収の差は、やはり、技術力の差が大きく影響するのは間違いありません。しかし、技術だけでなく経営のセンス、集客の方法、従業員の育成も重要なポイントです。
また、他の歯科医師よりも優れた技術、特化した技術を持ち、予防歯科や矯正歯科などトータル的な歯科診療を行う患者さんを多く抱えることができれば収入アップにつながります。
広告宣伝で患者を集めることも大切です。
集客方法を考え、チラシ、看板、ネット広告などを打ち、認知を高めていきましょう。
また、患者に好印象を与える従業員を育成することも欠かせません。そのような従業員の存在により、リピートや患者流出防止、地域内の口コミ、ネット上の口コミにつながるのです。
現在の歯科業界は決まった数の患者さんを取り合う構図となっており、そのため需要と供給のバランスが合わず、一医院が獲得できる患者さん数が減っています。
そのような状況で生き残り、年収をアップさせるには他の歯科との差別化が最重要となるのです。
まとめ:開業するまでに歯科医としてのビジョンを定める
開業にはメリットもあれば、デメリットもあり、歯科開業医の世界はなかなか難しいということも伝わったのではないかと思います。
歯科医院を開業する前に考えるべき大事なことは、自分自身がどんな歯科医をつくりたいと考えているかです。
まずはその「理想の歯科医院像」をかたちにし、「そんな歯科医院が求められるのはどこだろう」という視点で開業地域を探すようにしましょう。
この記事を読んでくださった方が開業した歯科医が、長く人々のお役に立ち続けることを心より祈っております。
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